桜の季節になると思い出す事

今週のお題「桜」

自分の小学校の入学式で桜が咲いているのを知った時から、桜が好きです。

冬の寒さの中でほんのりと蕾が膨らんでくる様子も良いし、咲けばもちろん綺麗、散り初めも美しい。特に落花盛んな木の下にいると「このまま死んでもいい」と思えるぐらい、好き。


そんな桜を観るために、奈良の吉野山へ行ったことがあります。

電車は行楽客で混んでいて、朝の通勤ラッシュに近いぐらいの混みようでした。そんな中でおじいちゃんが扉近くで立っていました。腕のなかには1〜2歳の小さな子供がいて、窓の外を熱心に眺めています。おじいちゃんが上手にあやすものですから、その子は満員電車の中でもご機嫌よくしていました。


アナウンスがあって、終点の駅では全部の扉が開くと言われました。そして終着駅で扉が開くと同時に、小さな子供の腕が電車の戸袋に飲み込まれたのです。

それまではおじいちゃんの立っていた側の扉は駅についても、たまたま開かなかったです。それが終着駅で開いてしまい、戸袋近くに立っていた為に子供の腕がはまってしまったようです。


家族の人が急いで駅員を呼んで来ましたが、客が降りるまでは扉は閉められないと言われてしまいます。子供はギャンギャンと泣くし、おじいちゃんは駅員に怒っています。


でも満員の電車から人が降りてしまうまで、扉を閉められないのも仕方ないです。でも子供の事を考えると、落花盛んで全てが桜に包まれている様子を見ても、心からは楽しめなかったのです。