絵本は素敵です。だって一番最初に出会う想像の世界ですから。

今週のお題特別編「素敵な絵本」。「素敵な絵本」なんていい響きでしょう。もうそれだけで世界が広がった気がします。

 昔は本屋の店先にクルクルと回転する雑誌立てが置いてあって、そこに硬い表紙の薄っぺらな絵本が差してありました。今でもたまに小学生用のノートをクルクルと回転する台に乗せて売っている所に置いてあります。あれと構造は同じですね。親に買ってもらえるのは、そこに差してある絵本だけでした。きっと店内に入れば他の出版社から出ている絵本も売っていたのでしょうが、もっぱらそういう絵本ばかりを買ってもらっていたようです。

 買ってもらった絵本は子どもにとっては嬉しいものだったので、何回も読んでもらいました。たまには絵本の情景を思い浮かべながら絵を描いたり、夜は寝る前に読んでもらったりと、それこそ大活躍でした。ぼろぼろになるまで読んだのは覚えていますが、どんな本を買ってもらったかはちっとも覚えていないんです。桃太郎、一寸法師があったような、なかったような。

 次に私が絵本にはまったのは大学生の頃でした。テレビで見たのか、雑誌で見たのかピーターラビットが気に入ったので、絵本を買ったところ、ちょうど福音館のカタログがもらえるというサービスがついてきたのです。当時は出版社が発行している本を知りたければ、巻末の出版一覧を参考にするか、本屋さんにおいてあるカタログを見るぐらいしか方法がなかったのです。
 だから切手を送ればカタログをもらえるというサービスは、すごく魅力的でした。また送られてきたカタログは本当に素敵で、代表的な絵本の表紙と内容の説明が書かれており、こんなに絵本って奥が深かったのかと驚いたものです。

 そう、絵本は大人が読んでも面白いんですよ。そうでなきゃ、子供が夢中になるはずありませんから。

 次に絵本とかかわりを持ったのは、自分が親になったときです。いろんな絵本を買ったり、借りたりしましたが、特に印象に残っている本をあげますね。


 1.しろくまちゃんのほっとけーき 
 私はこの本のおかげで、上手にホットケーキが焼けるようになりました。料理の指南書としてもたいしたものです。

 2.ハラペコ青虫
 これは友人宅で「これにはまらない子どもはいない」と断言されて、最初は半信半疑でした。本当に子どもははまります。この絵本はわざと穴が開いているのですが、この穴がびりびりに破れるぐらいにはまってくれました。

 3.ぐりとぐら
 これは私も子どもの頃に読みました。子どもにとってはすごく魅力的なお話で、親子2代で楽しませてもらいました。以前に原画展に行ったこともあります。

 4.うさこちゃんシリーズ
 うさこちゃんミッフィーちゃんのシリーズは今でも娘の宝物です。うさこちゃんという名称は福音館から出版された本に、ミッフィーという名称は講談社から出版された本につけられています。そしてオランダ名はナインチェ

 5.100万回生きたねこ
 小さい子供だと読んでもピンとこない子がいますが、大人は絶対に心を鷲づかみにされちゃいます。本当に愛しくて切ないお話です。

 6.ちびくろさんぼ
 これは私の思い出の本です。幼稚園か学校にあった本で、それこそ皆で順番に擦り切れるまで読んだものです。この本は題名が差別用語に当たるということで、長い間絶版になっていたのです。だから私の子供たちが小さい頃には存在しなかった本なのです。
 トラがバターになるなんて有り得ません。でも、ぐるぐると回る子どもを見て「そんなに回っているとバターになっちゃうよ」と声をかけているお母さんがいました。そして周りの人も皆うなずいている。そうです、皆に愛されている本というのはそういうものなのです。

 まだまだ絵本について語れそうな気がしますが、今日はおしまいにしておきます。
 今日はたまたま小さな赤ちゃんに会ってきました。その子に読んでもらおうと、我が家の子供向けの本を置いてきたのです。どうかその本たちが赤ちゃんの心に根付き、大きな花を咲かせますように。
 そしてすべての絵本が、すべての人に幸せと英知をもたらしますように。