車のカマキリを乗せて、ちょっとドライブしてみた

カマキリ オン ザ カー

 車を運転しようと思って、フロントガラスを見るとカマキリが乗っていました。カマキリは家の庭にもいるぐらいで、ちっとも珍しくありません。でも、車のフロントガラスに乗っているカマキリは珍しいでしょう。

 だからといって時間がなかったので、車を走らせて近所のスーパーに行きます。スーパーにたどり着くまでには、踏み切りと交番と右折信号があるんです。車だと2分です済むけど、歩くと10分ほどかかるから、今は無理ね。本当に時間がないんだって。

 だからカマキリを乗せたまま出発します。どうせ車が進む出したら、飛んでいっちゃうでしょうと思ったら、飛ばない。スピードが上がるにつれて、体がだんだんと強くなる風圧に押されています。それでも健気にがんばっています。

 スーパーに着いたら、飛んでいっちゃうかなと思ったら、それでも飛んでいかない。

 買い物が終了して、戻ってきても、まだ車のフロントでそのまま。

 仕方がないから、同じ道を車でまた帰ります。やっぱり体に風圧を受けているから、辛そうなんだけど、必死で耐えています。最初は鎌が左右にきちんと開いていたけど、帰りには鎌の左右がくっついちゃっていました。

 あまりにかわいそうだから、車の中にあった紙で足を軽くすくってあげました。そうするとあっさりと近所の畑に飛んでいきました。一気に5〜6メートルは飛んだようなので、飛ぼうと思えばいつでも飛べたようです。

 すごくがんばって、耐えて、結局は元の場所に戻ってきただけだったようで、そういうことって人生でもよくありますよね。